平成30年3月28日に「所得税法等の一部を改正する法律」が国会で可決・成立しました。今年の改正ではサラリーマン、自営業者ともに影響のある内容が盛り込まれておりますので概要を紹介します。

税制改正は毎年12月半ばに公表される税制改正大綱をもとに国会に改正法案が提出され、審議のうえ改正法案は成立する流れとなります。税制改正の内容は企業活動、生活に直結する内容のものが多いため毎年税制改正大綱公表の段階から大きな話題となります。

 

<改正点のポイント>

※以下の改正点は平成32年分の確定申告からが適用されます

 

1.サラリーマンへの影響

 

給与所得控除の見直し<増税>

①控除額を一律10万円引き下げ

②控除の上限が適用される給与等の収入金額を850万円、上限額195万円に引き下げ

 

個人に対してかかる所得税の計算は所得(利益)から基礎控除や生命保険料控除といった各種所得控除項目を差し引いた金額に税率を乗じて計算されます。

会社から給与をもらっているサラリーマンの所得は「給与の収入金額―給与所得控除額」という算式で計算されます。この収入金額から差し引くことができる給与所得控除の額が10万円削減されます。

また、平成25年から段階的に高所得者に対する給与所得控除の見直しがされており当初は1,500万円超の給与収入がある人に対し245万円の給与所得控除の上限が設定されました。

この給与所得控除の上限の対象となる人が給与収入850万円まで引き下げられ、その上限額も195万円となります。この改正により現行の制度から年間の所得税負担が年収850万円から1,000万円の人は徐々に負担額が上がっています。

ただし年収850万円超の人でも、子育て・介護に配慮する観点から23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等がいる場合には負担が増えないような調整が設けられます。

 

基礎控除の見直し<減税>

控除額を一律10万円引き上げ

※合計所得金額2,400万円超から控除額が減っていき、2,500万円超で0となる

基礎控除とは納税者全員に適用のある制度で所得の金額から無条件で38万円差し引くことのできるものです。この基礎控除の額が現行の38万円から48万円に引き上げられます。

サラリーマンのみしか恩恵を受けられなかった給与所得控除から納税者全員が恩恵を受けられる基礎控除に10万円の控除額が移ったかたちになりました。

 

2.自営業者への影響

青色申告特別控除額の減額<増税>

 

簿記のルールに従って取引を記録している事業者が受けられる青色申告特別控除額が現行の65万円から55万円に減額されます。

ただし、申告期限内に電子申告(e-Tax)により確定申告書、損益計算書、貸借対照表の書類を提出している事業者については現行の65万円の控除額のままとなります。

 

青色申告特別控除額の減額だけ見ると増税となりますが、電子申告を行っている場合は全ての納税者に適用がある基礎控除の10万円増額により、青色申告特別控除と基礎控除により受けられる控除額が現行の103万円(65万円+38万円)から113万円(65万円+48万円)に変更となるため、トータルで見ると減税となります。

 

 

3.まとめ

今年度の改正はサラリーマン、自営業者ともに影響がある改正となりました。

特に自営業者にとっては電子申告をするかどうかにより税額が変わるという大きな改正です(副業部分を自分で申告しているサラリーマンも一部対象となります)。

電子申告はすぐにできるというわけでなく、電子証明書・ICカードリーダーの準備や事前の税務署への届出など個人でやるには手間がかかるため、なかなか利用率が上がらないというのが現状です。

税理士業界を見ても、電子申告に対応していない税理士も多いです。その理由は税理士の平均年齢は65歳以上、60歳以上の税理士が60%以上と高齢であるためITや新しい技術の吸収が難しいのです。

あなたの顧問税理士は電子申告に対応してくれますか?

今後、電子化やITを利用した業務の効率化に対する優遇措置が拡大していくことが予想されます。まだ紙で確定申告書を提出している場合には一度ITや業務のクラウド化に詳しい税理士の話を聞いてみることを強くおすすめします。