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コラム

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2021.09.24

飲食店の事業計画書の書き方【創業融資を狙うために】

飲食店を開業するためには、まとまった開業資金が必要となり、小さいお店でも500万円以上、ある程度の規模になると1千万円を超える資金が必要です。全部自己資金でまかなえるのがベストですが、なかなか難しいのが現状です。自己資金に加えて資金調達をするケースがほとんどだと思います。
そこで、飲食店を始めるための開業資金として、もっとも利用しやすいのが、日本政策金融公庫(以下、「公庫」)の創業融資です。この創業融資を受けるためには、お店をどのように経営していくかを説明する事業計画書を作成する必要があります。
今回は、創業融資を受けるために必要な事業計画書の書き方を解説します。

事業計画書とは

事業計画書とは、飲食店の開業や経営のため、金融機関から融資を受けるにあたり、「事業内容」と「収支計画」をまとめた書類のことです。お店の経営プランを整理し、わかりやすく書面に落としたものと考えてもらえれば十分です。
また、この事業計画書は、自分自身の計画がどの程度実行できるのかを客観的に判断する材料になります。

事業計画書をダウンロードする

飲食店を開業する場合は、通常、公庫の国民生活事業という部署が管轄になります。こちらが、国民生活事業の各種書式ダウンロードページです

各種書式ダウンロード

ここから、「3.創業計画書」をエクセルでダウンロードします。
エクセルでダウンロードすれば、パソコンで作成できますし、編集も簡単です。

また「4.創業計画書記入例」のうち、「洋風居酒屋」の例がありますので、こちらも一緒にダウンロードして参考にしてみると良いでしょう。

創業融資を狙った事業計画書の書き方

ここではダウンロードした「創業計画書」の各項目に沿って、どのような内容を書くべきかをまとめていきます。

1.創業の動機

ここには、創業をすることに至った経緯や、起業に対する想いや目的を記入します。
事業計画書で一番重要なのは、全体のストーリーです。
飲食店を開業することが、単なる思いつきではなく、しっかり考え、準備した結果の開業であることをしっかりアピールしてください。

公庫は、飲食店を開業しようとしている人が、

  • お店を開店させるまでにしっかりと準備をしてきているか?
  • 勢いや思いつきで創業に至っていないか?
  • 数字を管理する能力があるか?
  • 家族や支援者の理解を得ているか?

などといった、経営者としての「個人」の部分を非常によく見ています。

飲食店を開業したいという想いと、その計画性を、熱意を込めて記載していくと説明がしやすくなります。

2.経営者の略歴等

ここには、経営者となる創業者の経歴を時系列で記入します。

基本的には、働き出してからの経歴ですが、調理や製菓の専門学校に通っていた経験が有れば記入します。 勤務先や年数に加えて、それぞれの経験で得た実績や経験も記載し、「1.創業の動機」で記載した内容との整合性を保つようにします。

次に「過去の事業経験」を選択してチェックをつけてください。 過去に飲食店やその他の事業を経営しており、失敗していたとしても正直に記載します。

また、取得資格には、保有している資格があれば、「有」にチェックをつけて、保有資格を記入します。調理師免許やソムリエ資格などを保有していれば、記入しておきましょう。知的財産権等も同様です。こちらも創業者個人に帰属するような知的財産権(特許権や商標権など)があれば、「有」にチェックをつけて、かっこ内に、知的財産権の内容を記入します。

資格や知的財産権等は、ないからと言ってマイナスになることはありません。

3.取扱商品・サービス

ここで記載する項目や内容は、「お店の魅力」であり、「お客様がお店を訪れる理由」です。お店の魅力がはっきりと伝わり、長く愛されるように、しっかりした「店舗コンセプト」を事前に練りあげた上で記載していきましょう。

取扱商品・サービスの内容

ここでは、ランチ・ディナー・深夜等の時間帯別に分け、メインの料理やドリンクと客単価を記載します。客単価はお客様1人当たりの想定される注文をイメージして算出してください。 売上シェアは、客単価に想定される客数を掛けた数字をもとにその比率を記載します。

セールスポイント

具体的かつわかりやすい「店舗コンセプト」と、業態やお店の名前を記載します。そして、他店では真似できない料理やドリンク、接客、演出などの特徴を具体的に記載します。飲食店の一番大切なところです。

販売ターゲット・販売戦略

メインターゲットとする客層の年代・性別は記載必須です。この情報に加えて、利用シーンや同行客なども記載します。販売戦略は、「集客方法・リピーターになってもらうための取り組み」と読み替えて、具体的に何をするのかを記載します。

競合・市場など企業を取り巻く状況

店舗の立地や、その町や最寄り駅の特性について記載し、これまでのセールスポイントや販売ターゲットに記載した内容の裏付けとします。

4.取引先・取引関係等

「販売先」

ここには、お客様のことを記載します。一般の個人客がメインであれば「一般顧客」とか「一般個人」と書きます。カッコ内は、「販売ターゲット」で記載した内容と重複するのであれば省略可能ですが、「販売ターゲット」で記載しきれなかった、その顧客の住んでいるエリアや年齢層、職業など、その個人顧客がどのような層なのか等の補足があれば記載しておきます。

「仕入先」

ここには、食材やドリンクを仕入れる業者や酒屋を記入します。仕入先の特徴や、仕入先との関係性も記載しておきましょう。今後様々な場面で助けてもらえる人脈があると評価される可能性があるからです。

「外注先」

ここには、外注業者(自分たちでできない加工や作業をお願いしている相手)と契約していればその相手先を記載します。ただし、一般的な飲食店ではほとんどありませんので、その場合は、記載不要です。

「人件費の支払」

ここには、従業員への給与の支払条件を記入します。決まりはないですが、従業員の勤怠集計や給与計算の手間を考えると、末締め翌20日払いなど、給与の締め日から支払日までは少なくとも10日以上は空けた方が無難です。

5.従業員

お店で働く人数を記載します。これから採用するパートスタッフなどを含めた予定人数で構いませんので、実態にあった人数を記載してください。

6.お借入の状況

個人事業主として創業される場合は創業者、法人の場合は代表者個人について記載します。住宅ローン、カーローン、教育ローン(奨学金の返済含む)などの今回の融資対象となるお店と関係性のないものだけを記載します。

7.必要な資金と調達方法

必要な資金

新しいお店を始めるため必要な資金について説明する項目であり、お金を借りる理由(そのお金の使用目的)を数字を用いて説明する必要があります。

【設備資金】
設備資金には、設備投資したいものを記入します。どのような物件で開業するかによって変わってきますが、少なくとも以下の項目について記載する必要があります。見積額としての根拠を提示する必要があるため、金額が大きい項目は、外部業者から見積書を取得しておきましょう。
物件取得:敷金、礼金、前家賃、保証料、仲介手数料
店舗内外装工事:外装工事、内装工事、造作譲渡
機器・備品:厨房機器、レジ、パソコン

【運転資金】
運転資金には、事業が軌道に乗るまでに必要な資金について記入します。一般的に、お店が軌道にのるまで3~6か月かかると言われていますので、目安としては3か月間売上がほとんどなくても、お店や従業員の雇用を維持できる金額を算出します。
運転資金:仕入、人件費、消耗品、広告宣伝費、水道光熱費

調達方法

必要な資金をどのように確保するかを記載します。特に自己資金は創業融資の審査において最初に確認される項目ですので、通帳などで貯めて来た履歴を明確にしておく必要があります。

【自己資金】
これまでコツコツ貯めて来た手持ちのお金から、設備資金と運転資金に使える金額を記入します。自己資金の割合が高いほど、月々の返済が楽になるだけでなく、自己資金をコツコツ貯められる人(=お金をかす信用に値する人)という評価を得やすいです。

【親、兄弟、知人、友人等からの借入】
信頼できる身近な人からの借入が可能な場合には、こちらに記入してください。

【日本政策金融公庫 国民生活事業からの借入】
創業融資として申し込みたい金額を記載します。

【他の金融機関等からの借入】
都道府県や市区町村などが創業者向けの融資制度などを設けていたり、近年ではクラウドファンディングでの調達などもありますので、そういった調達が見込める場合はこちらに記載します。

最後に「必要な資金」と「調達の方法」のそれぞれの合計金額が一致していることを確認します。

8.事業の見通し(月平均)

ここが最後の項目です。これまで記載してきた内容を検証し、必ず、整合性を保った数字を記載します。

創業当初

【売上高】:
時間帯や平日・週末などに分類し、客単価×席数×回転率×日数などの数式を根拠として算出します。

【売上原価】:
過去の経験を元に売上高×原価率という算出方法で算出します。

【人件費】:
社員や専従者(配偶者)などは月給、アルバイトは時給×1日当たりの時間×日数×人数などで算出します。個人事業主の場合は、オーナーの収入(生活費)はここに含めません。

【支払利息】:
借入金額×利率÷12か月で算出します。利率は2.3%ぐらいで良いです。

【その他】:
広告宣伝費・消耗品費・通信費・消耗品費など合算して算出します。思ったより経費が掛かることが多いので多めに見積もっておきます。

【利益】:
売上高-売上原価-経費で算出します。この利益から借入金の元本を返済することになります。また、個人事業主の場合は利益にオーナーの収入(生活費)が含まれます。

創業当初は売上高は少なめ、経費は多めに見積もっておき、それでもある程度の利益は出る形であれば万全と言えます。

1年後又は軌道に乗った後

同じように客単価や回転率を根拠として考えます。現実的な見込みとして、創業当初の売上高の1.2~1.3倍程度になることが多いです。

事業計画書提出から融資獲得まで

事業計画書を作成したら、創業融資を獲得するための準備は、ほとんど終了です。借入金申込書などの必要書類と併せて、日本政策金融公庫へ提出しましょう。

その後、公庫担当者から連絡がありますので、公庫の支店にて担当者と融資面談を行います。 融資面談は、事業計画書やその他書類に基づいて行われます。面談のポイントはこちらの記事にまとめてありますので参考にしてください。

面談結果を踏まえ、事業計画などを元に、公庫内での審査が行われ、融資の判断が行われます。 融資が決まると、借用証書などの契約書類が郵送されてきますので、その書類で契約手続きを行い、全て終わると指定した口座へ入金されます。

これで完了ですが、事業計画書含む必要書類の提出から、入金までは概ね約1.5~2ヵ月程度はかかるものとお考えください。なお、書類の整備状況や記載内容の具体性によっては、期間が短縮されることもあります。

まとめ

創業融資は、幅広く門戸が開かれておりますが、採択率は高くありません。簡単に考えず、しっかりとした準備をしてください。 最後に、事業計画書を記載するときののポイントをまとめておきます。

  • 記載した内容や面談時に話す内容が首尾一貫し、筋が通っていること
  • 記載内容が具体的であり、実際の運営がイメージできること
  • 数字や金額の根拠が明確で、現実的なものとなっていること

こういったポイントを明確にしておくことで、創業後のお店の運営もスムーズに進めることができるようになります。 ぜひ、本記事を参考にチャレンジしてみてください。