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コラム

COLUMN
2021.09.27

飲食店開業に必要な資格/免許/届出

実際に飲食店を開業するとなると、準備すべきことや申請するものは多くあります。ここでは、開業に必要な資格や届出を解説していきます。

飲食店の開業時に必要な資格

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、飲食店の開業に必要な資格です。1つの店舗に必ず1人置くことが義務付けられています。これを保健所に届け出ることで初めて飲食店が開業できるのです。
食品衛生責任者の資格を得るには、養成講習会に参加する方法があります。合計6時間の講義で3つの科目を修了します。資格取得時には修了証書を獲得することでその証とします。受講料は1万円ほど。場所はそれぞれの地域にある食品衛生協会です。すでに栄養士や調理師の資格を取得している人は、講習を受けることなく食品衛生責任者になることができます。

防火管理者

飲食店では開業の際に、防火管理者が必要になることがあります。必要となる条件は、店舗の収容人員が「30人以上」の場合です。店員やお客の人数を合わせて30人未満の店舗では必要ありません。

開業する店舗が30人以上だった場合、「延べ床面積」に応じて取得する防火管理者の資格の種類が異なります。300㎡未満では「乙種防火管理者」、300㎡以上は「甲種防火管理者」を届け出する決まりです。

資格取得には、開店地域管轄の消防署に受講を予約し、甲種は1日、乙種では2日の時間で修了します。講習費用は甲種7,500円、乙種6,500円です。

飲食店の開業時に必要になる申請や届出

【保健所】食品営業許可

飲食店開業に必要な申請です。食品営業許可申請が認定されるには、「食品衛生責任者」を置いたうえで、保健所の検査を通過することです。審査に通ると「営業許可書」を発行され、店舗の営業ができるようになります。

申請費用は2万円ほど。設備の設置などに保健所担当者の確認が必要なため、店舗が工事に入る10日~2週間前には申請しておくことが求められます。工事完了後は現場のチェックが入り、問題がなければ申請が通って営業を開始することが可能です。

【消防署】防火管理者選任届

火災の予防・対策をする防火管理者を置くことを届け出るのが「防火管理者選任届」です。防火管理者の資格を得た後に、防火管理者の修了証を添えた(あるいは番号を記入した)選任届を所管の消防署に提出します。なお、収容人員30人未満の店舗ではこの届出は不要です。30人以上では、開店前までに届け出が完了している必要があります。

そして、申請書類の記入欄には「防火・防災管理者」の欄で「選任〉資格〉講習〉種別」の箇所に「甲種」か「乙種」にチェックを入れるようになっています。「甲種」と「乙種」のどちらで届け出るか、設計図から「延べ床面積」を事前に確認して資格を取得し、そちらで届け出ましょう。

【消防署】防火対象設備使用開始届

先の「防火管理者選任届」では資格者を届け出ますが、「防火対象設備使用開始届」では、建物を使用するときに届け出るというものです。内容は、その建物の居住者や工事の概要、飲食店の形態(レストランや居酒屋、中華料理店など)を記載します。
手続きとして、防火対象設備使用開始届は所管の消防署に1週間前までに提出することが決められています。たとえ工事を実施していない建物であっても、新しく開業する場合には届け出が必要です。

また、例えば、居酒屋を中華料理店にするために工事を加えて「お店を別形態に変更する」という場合は、さらに「防火対象物工事等計画届出書」も提出することが必要でしょう。

【消防署】火を使用する設備等の設置届け

ガスの火を使用するケースでは、別途「火を使用する設備等の設置届」が必要です。例えば、厨房機器や給湯設備は火を使用する設備として届け出ておくことが必須です。
電化製品の場合でも、レンジやフライヤーなど350kW以上なら届け出します。逆に、IHコンロのみの厨房で350kW以上にならない機器しかない場合は、届け出が不要です。届出を行う場合は、機器の設置前に消防署に図面と一緒に提出します。

【警察署】深夜における酒類提供飲食営業開始届出書

深夜0時から午前6時までの間にお酒を提供するお店を開業する場合、「深夜における酒類提供飲食営業開始届出書」を出す必要があります。開店の10日前までを目安に、所轄の警察署に届け出ます。

飲食店にお酒をメインとするお店を開業する場合、個室の構造や明るさの条件(20ルクス以上)などが取り決められているため、事前に警察署に相談しておくと良いでしょう。

一方、ファミリーレストランのようにお酒よりもメインの食事を提供している場合は届け出を行う必要がありません。あくまでもお酒を出す飲食店に課している義務です。

【警察署】風俗営業許可

飲食店の中でも特殊なスナックやパブ、キャバクラ、クラブ、キャバレー、マージャン店、ゲームセンターなどを接待ありで開業する場合は、「風俗営業許可」を届け出ることが必要です。届け出は所管の警察署にします。

「風俗営業」かどうかの判断において重要なことは、「接待が存在するか」という点です。この接待とは、「歓楽的な雰囲気で客をもてなすこと」です。特定の顧客及び顧客グループの隣に座ってお酒を作ること、継続的に話し相手になることは接待に該当する可能性が高いです。
但し、バーテンダーがお酒を作ってカウンター越しに世間話をする程度であれば接待とはみなされませんので、ショットバーやオーセンティックバーでは、風俗営業許可は要りません。両者の線引きがわからない場合は、事前相談しておきましょう。

【税務署】個人事業の開廃業等届出書

個人事業主が飲食店を開業した際に税務署に届け出るのが「個人事業の開廃業等届出書」です。他の届出・申請とは異なり、開業後1ヶ月以内に提出すればよく、事前申請が不要です。

飲食店でなくても事業を始めた個人は必ず提出します。追加で「青色申告承認申請書」を届け出ると税金の控除(10万円 or 65万円)が受けられます。

顧問税理士がいる場合は、開業時に必要な税務署等への届け出は代行してもらえますので、確認してみるとよいでしょう。

従業員を雇う場合に必要になる申請や届出

【労働基準監督署】労災保険の加入手続き

多くの飲食店では、従業員を雇うことになるため、労働基準監督署の労災課に「労災保険の加入手続き」をします。加入することで業務中に生じた病傷の給付金を受け取れる仕組みです。労災保険は従業員が一人でもいると、事業者や従業員の希望とは関係なく保険の関係が発生するため、必ず手続きが必要です。労災保険料は全額事業主の負担となります。

【公共職業安定所】雇用保険の加入手続き

新たに雇う従業員が以下の条件に全て該当する場合は、雇用保険の加入手続きも必要です。

・1週間の労働時間が20時間以上である
・雇用期間が31日以上(期間の定めがないことも含む)である
・学生ではない(通信教育や定時制の場合は加入対象)

公共職業安定所(通称ハローワーク)に加入に必要な書類「雇用保険被保険者資格取得届」や「労働保険関係成立届の控え」「法人登記謄本」などを提出します。雇用保険料は被保険者の従業員が一部を負担するとことになるため、支払う給料から天引きして、事業主が預かり、労災保険と併せて納付することになります。

【日本年金機構】社会保険の加入手続き

社会保険は、健康保険、厚生年金保険、介護保険と定義しています。

現行の制度では、個人事業主として開業する場合、法定された16業種に該当し、かつ常時5名以上の従業員を使用する場合、加入義務が発生します。飲食店の場合は、法定16業種に該当しないため、個人事業主として事業を行っている間は、従業員が何人であろうと社会保険に加入する義務はありません。
ただし、任意で加入することは可能です。社会保険は、従業員にはメリットがある一方で、事業主には大きな負担となりますので、お店が安定稼働するのを待ってから加入を検討しても遅くありません。

一方で、法人として飲食店を開業する場合、従業員がたとえ代表者一人であっても社会保険に加入する義務があります。加入を届け出ずに放置すると罰則がありますし、支払いを滞納すると銀行口座などを差し押さえられますので、要注意です。
社会保険に加入する場合は、事業立ち上げから5日以内に管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規摘要届」と「登記簿謄本」や「加入者の住民票」と併せて届出する必要があります。届出した金額に基づいて、負担する保険料が決まりますので、その金額を毎月の給料から天引きして、事業主が預かり、事業主負担分と合わせた金額を納付することになります。

まとめ

飲食店を開業するためには、様々な届出が必要だということがお分かり頂けましたでしょうか。
届出類は、管轄によってルールや記入方法が違うことや、法改正によってインターネット等で収集した情報とは違ってしまうこともあり得ます。事前に管轄の機関に確認し、早めに行動することがとても大切です。こういった事務処理は早く終わらせて、店舗やメニューの準備に取り掛かれるよう、この記事を参考に手続きを進めていってください。