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コラム

COLUMN
2021.09.27

飲食店の開業に必要な「営業許可」の取得方法/流れを解説

飲食店を開業するには「保健所からの営業許可」が必要です。この記事では、これから飲食店を開業される方に向けて、飲食店の営業許可の種類、許可を取得するまでの流れ、必要な書類について整理して解説します。

飲食店の営業許可は業態によって異なる

飲食店営業許可(必須)

この記事で詳しく説明するものであり、焼肉屋やラーメン屋、居酒屋、バーなどほぼすべての業態で必要となります。営業許可を取得するための必要な条件は、「食品衛生責任者」を置くこと、「営業許可証」を取得することです。

営業許可そのものは都道府県知事が出す仕組みになっており、「食品衛生法」によって定められています。申請に基づき、保健所が審査を行い、問題がなければ、営業許可書が発行されます。

喫茶店営業許可(廃止)

制度変更される前の令和3年5月31日まで必須とされていたのが「喫茶店営業許可」です。通常の飲食店とは区分されていたため、旧制度では飲食店とは別に申請を出す必要がありました。しかし、令和3年6月1日以降は、「喫茶店営業許可」は「飲食店営業」に統合され、廃止されました。
そのため、飲食店営業許可を取得するだけで喫茶店を営業できるように変わっています。ただし、喫茶店の種類によっては別に製造関連の許可を取得する必要があるでしょう。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

飲食店の中でも深夜0時以降も営業を続けるお店は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を地域の警察署に届け出る必要があります。深夜営業すべてのお店で必要となるのではなく、バーや居酒屋などお酒を主に出すお店が対象です。食事をメインに出すお店では必要ありません。

製造系に必要な営業許可

飲食店の中には、パン・菓子やアイスクリーム、食肉などのように自店舗で製造して販売・提供するお店もあります。その場合、飲食店営業許可だけでなく、製造系に必要な営業許可も取得しなければなりません。製造系の営業許可は、菓子製造業、そうざい製造業、アイスクリーム製造業、麺類製造業など32業種に分類されており、それぞれに取得が必要です。都道府県によっては独自の基準を設けている場合もあるため、確認のうえ、適切な営業許可を得ましょう。

飲食店の営業許可の流れ

保健所に事前相談する

飲食店の営業許可を得るためにはまず、保健所に事前相談をしましょう。その際、施設の図面(50分の1程度)が必要です。これで設備が営業許可を受けるだけの基準を満たしているか判断することができます。すべての判断は保健所が行うため、他所でアドバイスを受けるよりも的確なアドバイスがもらえます。
なお、この事前相談は必須ではありませんが、初めて開業する場合は、事前相談に行った方がその後の開業までの流れがスムーズに進められます。

営業許可の申請を行う

開店の2週間前には営業許可を取得しておく必要があるため、工事が完了したらすぐに営業許可申請書を提出します。
営業許可の申請には、添付書類として施設の配置図や設備大要、食品衛生責任者の資格の提示、水質検査成績書、法人なら登記事項証明書が必要です。

施設検査日程などの調整

書類のチェックを受けて審査に通れば、後は保健所の担当者が現場を見て判断します。判断基準は保健所(その地域)によっても微妙に異なります。
例えば、グリストラップ(床排水)設備や窓に網戸の設置、スイングドアの設置による客室と厨房の区分などがされているなどです。この辺も事前に相談しておけば問題なく検査に通過できるでしょう。後日、営業許可証が交付されます。

営業開始

営業許可証を入手したら、すぐにでもお店を開業できます。その際に、お店のわかりやすい場所に許可証を置いておきましょう。

営業許可証の有効期限と更新方法

営業許可証の有効期限に関して

営業許可証には有効期限があり、更新処理が必要です。これは、お店が営業している間に、衛生面に大きな変化が起きることがあるためです。お店によって決められる有効期限には差があり、施設の設備レベルが高いほど長くなります。一般的に有効期限は5~8年とされ、保健所の基準によって定められます。

営業許可証の更新方法に関して

営業許可証の更新には、期限日までに更新書類を保健所に提出します。主に提出するのは、「営業許可証(+施設概要や配置図)」「食品衛生責任者の資格」の2つです。物件によっては貯水槽の施設もあるため、この場合は「水質検査成績書」も取り寄せて提出します。

更新を忘れた場合

更新を忘れると、許可の期限が切れた状態となるため、そのまま営業すると無許可営業をしていることと同じとなってしまいます。無許可営業を続け、それが悪質なものと判断される場合、罰則として懲役や罰金刑がありえるので気をつけましょう。さらに、新規での許可取得が2年間できないことにも注意が必要です。

営業許可取得にかかる費用

営業許可取得には、15,000円~20,000円程度の申請料がかかります。また更新時は、8,000円~12,000円がかかります。費用は都道府県が独自に設定しており、例えば、東京都であれば、新規取得では18,300円、継続の場合は8,900円です。

飲食店営業許可を取るために必要な書類

飲食店営業許可申請書

飲食店の営業許可を取得する際に必要となる書類のメインとなるものです。保健所の窓口でもらうか、あるいはホームページ等からダウンロードしてプリントすることで書類を入手します。基本的な名前や住所を書くだけでなく、紙面には営業の種類や食品衛生責任者の名前などを書く欄などもあります。

営業設備の大要

飲食店営業許可申請書に添付する書類に「営業設備の大要」があります。主に、施設や設備の概要を記入します。例えば、床なら「コンクリート」や「金属板」などの素材について記載します。他にも客室の換気は、「自然換気/動力換気」のどちらかなどです。これから営業する施設・設備がどうなっているのかすべてを把握していないと記入できません。

平面図

「営業設備の大要」と合わせて提出するようになっているのが「平面図」です。店舗施設の間取りや見取り図を記入し、厨房や客席の細かい施設配置がわかるようにします。具体的には、トイレや厨房、冷蔵庫、イスなどを加えて平面図にします。

見取図

店舗がある場所をわかりやすくした周辺地図のことです。ただの地図帳や紙地図ではなく、店舗の場所がわかるようにマーカーしたものや、中心に店を置き直したものが必要です。

登記簿謄本(登記事項証明書)

法人では、「登記簿謄本(登記事項証明書)」を取得する必要があります。個人事業主には不要です。証明書に「飲食店」の記載があることなどを確認し、問題がないか事前に保健所に確認を取りましょう。

水質検査成績書

井戸水や貯水槽を使用する店舗施設・設備では、「水質検査成績書」を取得します。殆どの場合は個人で検査~取得するものではなく、物件の家主や管理会社に問い合わせて入手します。

食品衛生責任者の資格を有することを証するもの

飲食店の申請には、開業時に食品衛生責任者とする人物が受講して修了証を修めていることを証明する必要があります。都道府県によっても異なりますが、東京都では修了証の番号が分かれば営業の申請ができます。

営業許可の期限切れへの対応

期限満了日の一ヶ月前には更新手続きを行うべきですが、万が一、期限切れ(更新忘れ)に気づいたら、速やかに保健所へ新規申請の手続きを行いましょう。無許可営業の期間があると罰則を適用される可能性はありますが、自ら早期にアクションを起こすことで、その重さを少なくすることができるでしょう。罰則が恐いからと言って、そのまま何もせず営業を続けるのは絶対にやめましょう。

まとめ

以上が、飲食店の開業に必要な営業許可とその流れについてです。まとめると、まずは食品衛生責任者の資格を取得し、次に営業許可を申請します。初めて開業する方や、今までとは異なる地域で出店する方は、必ず保健所に事前に相談に行きましょう。専門家に手続きを依頼することもできますが、開業者の多くは自分で申請手続きを行っております。ぜひ、本記事を参考に営業許可の取得を進めてみてください。